コンゴ民主共和国Project 三橋舞衣

Qなぜ長谷部研究会に入ったのですか?
また、数あるプロジェクトの中からどうしてコンゴプロジェクトを選んだのかということを教えていただきたいです。

お母さんの親友でJICAで勤めてる人がいて、その人がケニアとかフィリピンとか、発展途上国にすごい派遣されていて、女性で社会でもうバリバリ働いてるその姿がかっこいいと思っていました。ケニアにいるとき年賀状の代わりに写真はがきが届いて、そういう景色を見て、色々な世界があるんだと思ったことがきっかけです。中高生時代にも国際協力のボランティアをしてきたのですが、それにもやっぱり限界があって。でもそこからアフリカフェスタにはちょこちょこ参加するようになり、大学に入ったら国際協力やJICAに繋がるようなことをしたいと高校時代から考えるようになりました。1年生の秋学期にシラバスを見ていたら、長谷部先生の日本とアフリカのグローバルコネクションという授業がありました。GIGAでハードルが高いと思いつつ、コンゴだけではなく、南アフリカなど様々な国から参加している人がいて、すごく楽しかったんです。合宿もあり、長谷部先生のもとで勉強したいと思うようになりました。また、コンゴプロジェクトの紹介時間に、お話を聞いてると、次第にものすごく入りたいと思うようになりました。

Q活動してみて感じていることを教えてください。

アフリカは発展途上国と言われていますが、授業で来てる人たちはすごく日本語ができるし、私は豊かな印象を受けていました。2020年春学期から所属させてもらっていて、オンラインになりますとなった時に、確かに1人1台スマホを持っていることなどを考えると、昔よりは発展してきてるのかもしれません。しかし、インターネットコネクションの問題など様々な難しさはあります。コンゴプロジェクトの歴史を振り返る中でも、改めてアフリカと関わっているのだという実感を持つことができました。その他には、アフリカと日本との文化の違いみたいなのをすごく感じています。合宿では、夜の10時ぐらいまでが授業時間だったのですが、夜の11時とか12時とかまで歌って踊っていたんです。コンゴから来ている人と真剣な話をする機会もあって、日本に留学するまでに考えていたことを聞くことができて刺激を受けたこともありました。

Q現地に行くことがなかなか難しい時期になったと思いますが、コンゴプロジェクトとしてどういう活動をされていたのかお聞きしたいです。

2020年度は、日本にいるからこそできることをしようという一つの軸がありました。例えば文献を使った勉強会やOGOBの皆さんをゲストとして招いた勉強会もありました。また、アフリカに関わっている方と一緒に勉強会をすることができました。このような時代だからこそ、できることなのではないかと考えて挑戦をしてきました。もう一つは、2019年のオープンビジネスフォーラムというコンゴのビジネスコンテストの優勝者の方にジャパントレーニングを開催する予定だったのですが、コロナウイルス感染症の拡大のため日本に来ることができなくなってしまいました。しかし、来れなくても日本から伝えていける知識や、できることを考え、Zoomのミーティングを通してコミュニケーションを定期的にとってきました。ピーナッツ栽培をされている方なので、ピーナッツ工場にフィールドワークさせてもらい、日本の最新ではなく、最適の技術をコンゴに伝えることはできないだろうかということに挑戦してきました。今回だけではなく、技術を伝えるときに最新のものを持っていくこともできますが、それだと現地で直すことが難しいという話があって、現地で新しく作り直すことができるような、長く使ってもらえる技術を伝えるという価値観をずっと大切にしています。

Qプロジェクトの中で大切にしていることは何ですか?

長谷部先生の講義でよく「フレキシビリティ」という言葉を聞くのですが、柔軟性や現場力の大切さを感じています。例えば、コンゴとZoomミーティングする時に、カメラを全員オンにしたら現地では見えにくくなってしまうのでオフにすることや、現地で主流のWhatsAppの電話ミーティングに切り替えるなどの工夫をしています。また、2008年から始まった歴史のあるプロジェクトなので、これまで引き継がれてきたことを常に意識していることだと思います。私達が魚を与えるのではなく、一緒に魚釣り方を考えようということは、常に意識しています。何が正解なのかは、活動していく中でもわからないことは多いと思うんですね。ビジョンである、魚の釣り方を一緒に考えるっていうのでも魚という具体的なものがあればわかりやすくても、彼らが何を得るかという抽象的なことになると、正解というのはすごく見えづらいです。活動の正解が見えづらい中で、葛藤しながらも自分たちで活動を続けていくことや、形にしていくことを先輩たちは大切にしてきたのだと思います。試行錯誤でやってみて、それが失敗だったこともあるみたいですが、そのような全ての流れがあって今があるんですよね。失敗から学ぶこともあり、活動してきたということはすごく先輩たちと話していた中で今、先が見えない中でもはや闇雲に活動してるからこそ、すごく励みになりました。

今、コンゴに行くことができず、すごく悲観的になる時もあります。それでも、プロジェクトをオンラインで進めることができるかもしれないという期待を抱けることは、すごく恵まれていると考えます。この前2008年のプロジェクトを立ち上げた先輩とお話する機会があったのですが、そのときに仰っていたことは、コンゴの首都にネットカフェのようなものがあり、そこでもメールを1本打てるか打てないかというレベルで当時は活動していたそうです。今は一人一台スマホがあり、コネクションは日本からしたら弱いけれど、そこで繋げることができて恵まれていることをすごく感じます。また、先輩たちから学んだことは、現役生のメンバーが一番大事ということです。確かにOBOGの皆さんが積み上げてきたものがあるからこそ今があるし、関係性の土台があります。しかしこれから先、どのような活動にしていくかのか、今できることを考えれるのは現役のプロジェクトメンバーがいてこそのことなので。「最新ではなく最適なものとか、現場に即して、現場に寄り添う姿勢を守ってくれることや、形が変わっても心が脈々と受け継がれていくことが一番嬉しいんだよ」と言っていただけて励みになりました。

Qプロジェクトの魅力を教えてください。

プロジェクトの魅力は、規模が大きいことをやってることです。確かに一つ一つの事例ってすごく小さいと思います。例えば、「ピーナッツの栽培量が少し増えました」と言うのも小さい話かもしれないですが、知識を得て増やしたことで、その周りの人たちも豊かになっていくことを含めたらすごく大きなことだと考えます。コンゴは、今すごく発展途上の中で、それでも社会を変えたい、国を変えたい、明るい未来を作りたい、僕が変えるんだという意識を持ってる人がすごく多くて、そこに、ものすごく感化されます。そういう人たちが日本と関わってくれてるようになった時、コンゴの方々にとっての福澤諭吉先生だなという可能性のある人たちがたくさんいて、そのような方々と私たちは関われているのだと考えると、日本が近代化したときのヨーロッパとの関係が、日本とコンゴで結ばれてる可能性もある考え、ものごく未来が大きいことですよね。

Qコンゴの魅力を教えてください!

私こそが社会を変えてやるんだというパッションはもうすごいと思うし、今の日本人足りないところだというのが正直なところです。それとは別に、個人的な関係になったときにすごく温かくてすごく優しいです。すごく小さな話で言うと、授業が基本敵に英語だけど、時々日本語で喋るみたいなことがありました。分かるかなと思い連絡をしてみたんですね。そうしたら「○○さんに聞くんだ」と同時に「一緒に聞く?」と言ってくれました。さりげないけれど、それも優しさだと思いました。私はわからないことは、わからないと言えないタイプで、モヤモヤして過ごしちゃうみたいなことも結構あります。しかし、コンゴの方々は分からないことは、きちんと声をあげて伝えている姿を見て本当にすごいと思いました。あとは、今ここを生きる力がすごくあります。いい国を作りたいんだ、今足りてないのはこういうことなんだということがある一方で、明るい未来を信じているのですが、今ここで何ができるのかを考える力があると感じています。それは先輩たちもよく言われており、諦めない心は感じます。それこそ電波が悪くても、それでも繋がろうと何回でもトライしてくれる。熱いというかかっこいいですね。見習わなければならないところだなとひしひしと思います。

Q印象に残っていること、大変だったことはありますか?

オンラインの問題はすごく大きくて、繋がることへの精神的ストレスみたいなのがお互いにありました。繋がっても40分ぐらいが限界で。関係性の土台を大事にしたいプロジェクトだからこそ、難しいことだな考えています。言葉の違いを今まで衣食住を共にし、その場で互いに拙い言語でも一生懸命伝えることで、何か乗り切ってきていました。しかし、オンラインでは衣食住を共にするということができないし、一緒に夜ご飯をオンラインで食べるというのも時差の関係で難しい。相手のことを知りきれないという困難を日々感じていることです。この状態が続くのかと思うと、どのように同じ景色を見ていくのかはとても難しく、これからの課題だと考えます。また、印象的だったことはコンゴの方々やプロジェクトメンバー、プロジェクトに関わっている方で鎌倉ハウスに集まる機会が持てたことはすごく大きかったです。そこで何か1人1人、今何を考えて、どういうことをしていきたいのかというのを熱く話した日がありました。個々人を大切にしているとその場でも感じることができたことも、大きな進歩だったと思います。
食を通してコミュニケーションを取る間に、言葉の違いを越えたことがすごく印象的で、そのような時間がこれからも持ちたいです。

Q最後に、コンゴプロジェクトに興味を持って頂いている学生の方に一言お願いします。

諦めない心を持っていてほしいと個人的には思っています。電波が悪くても続けることや、違う手段はないんだろうかと考えることもそうですし、いつか行ける日が絶対に来ることを信じて、その日に向けて準備しています。
大きなものを目指して信じ、踏ん張りながら頑張れる人。そのような仲間と頑張っていきたいなと思います。

大きな社会みたいなことで言うと、私達が何か国際協力とか言うときに、どうしても今の国際協力は、与える部分だったり搾取という現実がすごく大きいです。その中でコンゴプロジェクトが、学生の団体・プロジェクトとしてやってること、一緒に学生同士が、日本とコンゴの学生同士が社会を作ろう、変えようとしているという行動がメッセージとなってほしいです。