羽後高校Project 吉田悠馬
Q なぜ長谷部研究会に入ったのですか?
また、数あるプロジェクトの中からどうして羽後高校プロジェクトを選んだのかということを教えていただきたいです。
高校3年生の時に参加したORFで、プロジェクトの存在を知りました。その時は研究会に入ろうとは思っていなかったのですが、SFCに入って元々まちづくりに興味があったところを、「まちづくりに必要な人材を育てるためには高校の探究学習と高校の学校教育を充実させる必要がある」と考えが深まりました。高校の探究学習や教育に興味を持って、当時のORFのことを思い出し、研究会に所属しました。ただ、高校生の時は「入るならCDPかLAP」と別のプロジェクトを考えていて、羽後プロジェクトに入るとは思っていなかったんですよね。当時は、とりあえず(地元の)東北とは違うところでやってみたい気持ちがあったので、自分の興味分野ど真ん中のプロジェクトを探していました。ただ、自分の近くの高校でも「学校存続の危機」というニュースが身近にある中で「同じ境遇にある羽後高校に自分は何をできるのか」と興味を持ちはじめて今のプロジェクトに参加しました。
Q そうして始まった研究会。プロジェクトの中で大切にしていることは何ですか?
一番大事にしているのは、「高校生が言ったことを否定しないこと」です。例えば高校生から「こういうことをやってみたい!」と出たアイデアが、自分の想定していなかったことや考えもしていないこと、ひょっとするとテーマとずれた答えだったとしても、まずは「良いね」って受け止めています。本人にとっては「関連がある」と思って話してくれたことだし、そこから少しずつ引き出したりして「本人が自分で考えていくこと」を大切にしたいと思っています。
Q 現地に行くことがなかなか難しい時期になったと思いますが、羽後高校プロジェクトとして吉田くんは、どのような活動をされたのかお聞きしたいです。
自分が担当していたのは高校1年生に向けた「羽後学」を行いました。1学年は学校で「自己探究」を主に学んでいるので「自分の興味関心は何か。自分はどういう人なのか。過去こういうことがあったから今の自分があるのか」とか。自分自身の主観的な目線でも、他人から見た客観的な部分でも分析することを行っていました。今の自分や過去から未来の流れに焦点を当てる中で「自分自身」を考えて、2020年度秋学期に開催した「SFCオンライン留学に向けて自分自身の興味を深めて学ぼう」という目標を元に開催しました。自分自身も2020年秋学期から羽後町での活動ができるようになり、プロジェクト活動に対する主体性が持てるようになりました。また、授業回数を重ねごとに、高校生が心を打ち明けてくれ、高校生自身が考えていることを伝えてくれるようになりました。また高校生と向き合う中で、高校生自らが端末操作や角度調整、授業での学びから生まれた疑問を質問してみるといった、高校生の意識的な変化を身近に感じることができました。とても貴重な羽後町滞在となりました。
Q 羽後町の魅力を教えてください。
滞在時に住んでいるところは町の中心部で、小中高の学校や商店街もあるみたいなところなのですが、羽後町はもちろん山もあるし、ひとつ山を超えるだけでまた違う茅葺の建物が残っていたり、昔ながらの建物が残っている集落があって。町の中心部はどちらかというと、江戸、明治とかの雰囲気が残っているんですけど、峠一つ超えると時代背景が変わってくるのが自分個人的に面白いなって思います。モダンな今風なところもあるけど、昔の良いところが残っていて。令和の時代の中にはあるけど、ちょっと時が止まっているみたいな。行ってみないと伝わらない感覚だと思うのですが、行くとタイムスリップしたような感覚になるので、ぜひ訪れて欲しいです!
Q 羽後高校プロジェクトメンバーの魅力について教えてください。
自分は青森県八戸市出身なのですが、他のメンバーが愛知県瀬戸市と島根県津和野町、鹿児島県屋久島町口永良部島、神奈川県横浜市、広島県呉市、静岡県と、現メンバーの7人が綺麗にバラバラで。違うバックグラウンドを持っているからこそ、人によって考え方や羽後町への捉え方も違うことが面白かったです。
また、羽後町の捉え方も自分の住んでいるところと背景が違うからこそ第二の故郷的に想う人も、気温も生活も全く違う衝撃を受けつつも文化の違いを見ていく人もいます。そして、自分は言葉も食文化も何も変わらず方言も理解できて地元に近く感じるなど、それぞれの感じ方が違うからこそ、違う視点から見た羽後町が見られました。
Q最後に、羽後高校プロジェクトに興味を持っている学生の方にひとことお願いします。
羽後高校プロジェクトがやってることはすごく幅が広いです。現在は、学校の総合的な探究の時間「羽後学」、放課後の学習の場「うごゼミ」、そして学校外で活動している町づくりサークルがあります。高校生の学びのサポートという意味では、学校内だけではなく、学校外にも活動場所を広げています。活動を通して、地域の方との関わりも、もちろんあります。まちづくり的視点として、学校教育や探究学習だけではなく、教育を切り口とした町づくりに興味がある人など多角的に羽後町の中で活動できるプロジェクトだと思います。
様々な興味分野を持つ新規生が羽後高校プロジェクトに入ってくれることを楽しみに待っています。