屋久島町口永良部島Project 長谷川倫太郎
Qなぜ長谷部研究会に入ったのですか?
また、数あるプロジェクトの中からどうして口永良部島プロジェクトを選んだのかということを教えていただきたいです。
口永良部島プロジェクトに入ったキッカケは、大学2年の時に、当時剣道部の先輩が口永良部島プロジェクトに入っていて、口永良部島で剣道の授業をやっているという話を聞いたことです。自分自身が長崎に暮らしていたときに、離島で暮らした経験もあり、直感でその島に行きたいっていうのがまず一つありました。その頃、都市部での暮らしに居心地の悪さも感じていたので、都市部から逃げたかったというのが本音かもしれません。他の研究会もプロジェクトも見ずに飛び込んだので、面接の際に「他のプロジェクトはどうですか」と聞かれても「いえ、口永良部島でやりたいんです」と言いました。実際入ってみて一番いいなと思ったのは、やっぱり先輩たちとの波長が合ったというのと、口永良部島の人たちと話していて事者意識というか自分のバックグラウンドと近いものを感じて、一緒に何かをやることに意欲をかき立てられたことですね。プロジェクト活動ありきの複数人のチームとしてではなくて、人としてのコミュニケーションも日常的にすごい取ってくださるし、自分もその関わりが好きだった分、一緒にやってきてすごい楽しかったです。
Q口永良部島の魅力を教えてください。
なるほど、非常に難しい質問ですね。自然とかはもちろんすごい豊かで、わかりやすい魅力なのですが、それよりもやっぱり人ですね。口永良部島の人たちの人生観や生き方にすごい惹かれます。島の人たち全員に共通しているというわけではありませんが、自分の力で生き抜いていかないといけないという前提の価値観があったとして、でもやっぱりみんなで助け合うことが生きていく上で大事だということを皆さん思っていらっしゃるような気がします。一人一人の力がすごい人たちが集まっているのに、助け合うことを共通して認識していらっしゃるから、なおさら感銘を受けました。 ちょっとした衝突や怒られることがあっても、ちゃんと謝ってまた関係性を良くしたいなという衝動に駆られてきたのは、喜怒哀楽があれども、やっぱり島の人達が好きだからやってこれたなっていうのはあります。プロジェクト内も同じですね。
Q口永良部島の見てもらいたいところはありますか?
島の人たちには会ってほしいですね。あとは自然がすごい豊かなのでどこに行っても面白いです。どこに立ってみても雄大だし、感動するしパワーももらえるし。個人的にフェリー太陽で本村港という口永良部島の玄関口に入っていく時に、久木山運送っていう島で唯一の運送会社の方々が 、船の荷下ろしや荷積み、その他の作業をやるため構えている光景がすごい好きで、かっこいいんですよ。島の日常を筆頭になって支えてる人たちが、一生懸命働いている様子がかっこよくて。それぞれが黙々とやっているけれど通じ合っているような感じ。その人たちにとっては当たり前なのかもしれないけど、その様子が好きですね。あと運が良ければフェリーからイルカも見られますね。夏はウミガメと泳ぐこともできます。温泉も気持ち良いですね。効能が良いので、入りすぎると逆に疲れてしまうくらいです。
Q印象に残っているエピソードはありますか?
プロジェクトの活動で印象に残っているのは、学校の剣道の授業です。中学の剣道の授業のサポーターとして関わらせていただいて、主導は学校の先生たちがやってくださり、剣道の技術的なところや専門的な部分をサポートしていました。地域の人たちと話すことと、学校の先生たちと話して実際に授業をやって振り返りまでやりましょうというのはまた違うコミュニケーションの取り方や繋がり方が大事だなと感じました。自分がやってきたことをフィールド先で活かすことができたのは、本当に感謝しています。地域の人と関係性を持つ、関わるということはできる限り日常を共にすることでもあるので、餅つき大会などの地域の行事にもたくさん参加しました。それも楽しかったですね。あくまで私の価値観ですが、そういうことができてこそ一緒に活動したいですと言える関係性になるのだと思います。最初は慶應の口永良部島プロジェクトの長谷川倫太郎ですという感じで島に入っていて、それは無意識で言っていたのですが、島の人たちにはあまり自分が受け入れられていないことを薄々感じていました。私は剣道部の活動もありながら、時間を見つけて島に通っていたので、あまり島の人たちと長い時間を共にしたという感じではなかったんです。だから短い時間にどうやったら自分を島の人に受け入れてもらって、遠慮なく関われる関係性になれるかを考えつつ、島の人たちの家に挨拶に行ったり、何の計画もなくただ話したいですって話に行ったり、その場で湧き出てくる聞きたいことや話したいことを投げかけて地道に会話を重ねていきました。後付けですが、そのプロセスを一番大事にしていましたね。もちろんそこで受け入れてくださる島の人たちも本当に心が寛容だなと思いました。それも先輩たちがこれまで関わり続けてきて、少しずつ慶應生に対して受け皿が広くなったというか、慶應生が島にいることに最初よりは違和感がなくなってきて、お話をさせていただけるような関係になってきたところに私たちが飛び込んだので、ハードルが低くなっていたのだと思います。先輩たちに感謝です。すべてのことに学びがあって、先輩の表現を借りるならば、口永良部島は人生におけるキャンパスだと思います。
Q最後に、口永良部島プロジェクトに興味を持って頂いている学生の方に一言お願いします。
まずはその地域のことをまず全力で知ろうとする姿勢が大事だと思います。その上で可能な範囲で自分のアイデンティティや自分の人柄を公開していく。島の人たちとの関係性ありきの創造的な活動なんだということを、しっかり認識することをお願いしたいなって思います。その上で、自分のやりたいことを島の人たちとちゃんと相談して、意見を交わしながら考えていく。だから何をやるかよりも、どんなことを考えてやるかを、大切にして欲しいですね。何かをやることよりも、島の人たちに信頼してもらえるような行動などその下地となる部分が、やっぱり一番大事です。島の人たちの本気で生きている姿に、関わってる身としては本気で応えないと、失礼ですよね。その本気を伝えるのも自分の姿、行動、発する言葉の表現の仕方、抑揚、そこに込められている力強さとかから伝わってくると思います。私もこういう考え方を最初からできていたわけではないです。失敗をそのままにしないとか、失敗した後の努力というか、そこが一番大事だと思っています。また最近、口永良部島プロジェクトに入っていない人も島と関わることが多くなってきていて、学生が口永良部島に学びのチャンスや成長のチャンスを見いだして関わっていくことが続いていったら嬉しいですね。